韓屋の屋根と曇り空の間に宿る静けさ。その中で、私は再び自分自身を見つける。
韓屋の屋根は優しく空へと開いている。
曇った空が広がると、
時間は少しゆっくり流れるようだ。
屋根はしっかりしつつ、やわらかい。
重ねられた瓦は、記憶の層のよう。
その下に立つと、心が自然と静まる。
世界の喧騒が消え、今だけが残る。
一枚一枚の瓦に、
昔の職人の息遣いが込められている。
完璧な並びが語るのは、
長い文化の品格。
屋根の角に立ち、
ふと空を見上げる。
晴れていなくても構わない。
雲の隙間から差す光があれば、それでいい。
韓屋は言葉がなくても伝わる空間。
木のぬくもり、格子からの風、
人の心さえ受け止める。
ここではすべてがゆっくり動く。
誰かは退屈だというかもしれないが、
その遅さの中で
私はようやく自分の呼吸を感じる。
速く生きる日々の中で
私たちは自分を置き去りにしてしまう。
でも韓屋の静けさは
再び私を私へと戻してくれる。
屋根と空のあいだ、
そのわずかな空間に静けさが宿る。
その静けさが私を包んでくれる。
まるでこの瞬間のように。


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